音楽療法とメラトニンを併用したら、リラックスの効果は高まるのか?

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音楽療法

リラックスしたいなと思ったときに、音楽を聴きたくなることがあります。好きな音楽を聴くと気持ちが落ち着いて、からだの力が抜けていくからです。音楽のリラックス効果は、医療の分野でも「音楽療法」として治療に使われています。

音楽は人間がもつさまざまな機能にはたらきかけて、心とからだに安らぎを与えます。特に、脳の視床下部を刺激して、リラックス効果を高めることがわかっています。

視床下部は自律神経系(交感神経・副交感神経)や内分泌系(ホルモン)をコントロールして、からだの環境を整える大切な役目を果たしているところで、人がリラックスすることに深く関係しています。音楽に刺激された視床下部は、血圧と脈拍を下げ、指先の温度を上げる、という研究の結果が出ています。

この循環機能(血圧・脈拍)の変化は、音楽を聴いたことでからだがリラックスしたということを数値で表しています。

メラトニン

人がリラックスするには視床下部のほかに、松果体から分泌されるメラトニンというホルモンが深く関係しています。メラトニンは夜になると分泌が増えて、血圧と脈拍と体温を下げます。からだをリラックスさせて、眠りやすくさせるためです。

最近の研究で、音楽を聴くことで松果体が刺激されてメラトニンが増えるということがわかりました。メラトニンは精神的なストレスが分泌の量に影響します。メラトニンの量は視床下部の機能にも影響することがわかっています。

メラトニンと視床下部、そして精神的ストレスとリラックスは密接に関係しているようです。

音楽療法とメラトニン併用した研究

音楽療法とメラトニン、どちらもリラックス効果があることが研究でわかっています。では音楽療法にメラトニンを併用したら、さらにリラックスの効果が期待できるのではないでしょうか?

このことを研究した論文があるので、詳しくみてみましょう。

方法

20〜22歳のボランティアの女子学生12名に協力してもらいました。

①音楽群

12名にベートベン「交響曲第6番の田園」をボディソニックを使用して20分聴いてもらいます。ボディソニックは音楽を振動させることによって、からだ全体で音楽を聴くことができる装置です。耳で聴くよりも、より臨場感あふれる音楽になります。

②音楽・メラトニン群

同じ12名に後日、音楽を聴く1時間前に「Melato-one」というサプリメントを飲んでもらってから、①と同じように音楽を聴いてもらいました。

③メラトニン群

5名に音楽は聴かずに、メラトニンの成分が入ったサプリメントを飲んでもらいました。それぞれの群に血圧、脈拍、動脈血酸素濃度、指尖皮膚温度を測ります。音楽開始時、5分後、10分後、15分後、20分後の5回、時間の経過による変化もわかるように測ります。

結果

血圧、脈拍、動脈酸素濃度、指尖皮膚温度は、からだの循環器に関係する機能です。これらの循環機能はどのように変化したのかみてみましょう。

血圧

①音楽群では12人中10人(83%)、②音楽・メラトニン群では12人中10人(83%)、ほとんどの人が血圧が下がりました。

③メラトニン群もばらつきはあるけれど血圧は下がっています。

この3郡に大きな差はみられませんでした。

脈拍

①音楽群(67%)と②音楽・メラトニン群(83%)が減少して、平均値ではどちらも時間が経つにつれて減少しました。

③メラトニン群は3群のなかで、一番脈拍が少ないという結果が出ましたが、時間の経過による変化はありませんでした。

動脈血酸素濃度(Sa02)

血のなかの酸素の濃さを測ることで血の巡りの変化を調べようとしましたが、3群とも変化はありませんでした。

指尖皮膚温度(指先の温度)

①音楽群では指先の皮膚温度が時間とともに上がった人は17%しかいませんでした。

②音楽・メラトニン群は75%の人が上がっていました。この結果は①音楽群と②音楽・メラトニン群でとても対照的でした。

③メラトニン群は時間が経つにつれて上がって、10分後には①音楽群より上がりました。

考察

①音楽群は血圧と脈拍は下がりましたが、指先の温度の変化は小さく、一時的でした。

②音楽・メラトニン群の血圧、脈は下がって、指先の温度も上がり続けました。この結果は、①音楽群との結果に大きな差が出ました。

③メラトニン群は血圧、脈拍どちらも大きな変化はありませんでした。しかし、指先の温度は継続的に上がっていました。

①音楽群と③メラトニン群は、循環機能(血圧・脈拍)の変化と指先の温度変化のうちどちらかしか見られなかったのに、②音楽・メラトニン群はどちらの変化も見られました。

人はストレスが解消されてリラックスした状態になると、脈はゆっくり打ちます。血圧は下がって気持ちは落ち着き、血管が緩んで血が流れやすくなることで皮膚の温度が上がります。この変化は視床下部が音楽に刺激されることで、自律神経系に影響するからだと考えられています。

同じボディソニックを使った音楽療法の研究でも、音楽が視床下部の刺激になって血圧や脈白に影響するという結果が報告されています。

①音楽群と②音楽・メラトニン群の結果は、同じメカニズムによるものと考えられます。この音楽療法の研究では、20分間の音楽を聴いた後に指先の温度が上がったのは一時的で、その後は続かなかったことも報告されています。

指先は動脈と静脈、交感神経がたくさん集まっているところです。ストレスの研究では、皮膚の温度を測る場所としてとても適しているとされています。指先温度の変化が小さかったということは、リラックス効果は大きくなかったということになります。

今回の研究では、②音楽・メラトニン群と③メラトニン群の指先の温度は持続して上がっています。メラトニンの効果はサプリメントを飲んでから2〜4時間続くと言われているので、指先の温度が持続して上がったのはメラトニンの影響が出た結果だといえます。

メラトニンのサプリメントは、アメリカで健康食品として売られています。安全性も確かめられていて、一般的に広く知られています。メラトニンは、睡眠の質をよくするほかにも、ストレスを和らげたり、菌やウィルスに対抗する力(免疫力)を強めたり、また老化を遅らせる効果(抗酸化作用)もあることがわかっています。

まとめ

②音楽・メラトニン群だけが血圧と脈拍の循環機能、指先の皮膚温度、どちらも変化したという結果は、3群のなかで1番リラックスできたことを表しています。音楽療法とメラトニンを併用したことで、①音楽群と③メラトニン群よりもリラックスの効果が高まったことがわかります。

血圧と脈拍が変化したことから、音楽が「視床下部ー交感神経ー副腎髄質系」システムに影響すると同時に、メラトニンが副腎皮質からのコルチゾールの分泌を抑えることから、「視床下部ー下垂体前葉ー副腎皮質」システムに影響していることが予想されます。

この2つのシステムの相乗効果によって、リラックス効果が高まったのではないかと考えることができるのです。コルチゾールはストレスを受けると増えるので「ストレスホルモン」と呼ばれていて、増えるとうつ病や生活習慣病が心配されるホルモンです。

音楽療法とメラトニンの相乗効果については、まだまだわからないことが多いです。音楽が視床下部、副腎皮質、松果体、を刺激することで、自律神経や内分泌系、免疫機能に影響するという、からだのネットワークシステムの解明が一日も早くされることを願います。

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